So-net無料ブログ作成

札幌で札幌戦と札幌記念 [日記]

試合開始前に豪雨と雷に見舞われたホーム等々力のコンサドーレ札幌戦。いやあ、すごい雨でしたねえ。靴なんてもうびしょ濡れ。雷もすぐ近くに落ちまくっていて、よくまあ停電とかにならなくてすんだもんだ。ほんと、怖くてしょうがなかった。



ごめんなさい、ウソです。その日、等々力には行ってませんでした。で、どこにいたのかというと・・・



札幌にいました。

仕事で行けなくてシーチケを無駄にしちゃうこと自体は、まあたまにあることだからしょうがないんだけど、よりによって札幌が等々力に来て試合やってるってのに、自分は札幌にいるとは。なんか都内とかで仕事が入ってるケースなんかよりよっぽど損した気分になるのはなんでかな。

で、ホテルでdaznとか見ることもできるんだけど、それじゃなんかつまんない。なんといっても、札幌にいるわけだから。

というわけで、スポーツバーに行ってみました。札幌にはHUBはないので、ネットで探して、電話して確認して、前日に一軒、満席だと言われたんだけど、同じように放送してる店をご紹介しましょうかと言ってくれて、そこへ電話したらなんとか席があって、潜り込めました。

札幌戦.JPG

当日はぎっしり満席で、当たり前だけど札幌サポだらけ。でもそれでひるむわけにはいかない。持っていったユニ来てタオマフ巻いて、入場時にはそれを掲げて、憲剛のゴールでジャスティスやって。

・・・ごめんなさい、ウソです。普通の服で、おとなしく観戦してました。

一人だったら本当におとなしく見て誰にも気づかれずに帰れたのかなと思うけど、仕事で来てた同行者に話したら興味を持って、じゃあいっしょにメシがてら行こうかということになって、その人と話しながらというか、いろいろ教えたりしながら見る形に。となれば当然、近くの席の札幌サポは、なんかこいつらへんだな、と気づいていたはず。ごめんね。でもまあ中立のサッカーファンを装い、波風立てるような言動は謹めたし、特に問題もなかったのでよかった。

にしても、相手サポの中で観戦するというのは、そうあるもんじゃない。実際、なんか面白かったなあ。

観戦者の気持ちにぐっと力がこもるのは、カウンターの場面。CKやFKは、全体の期待が高まってわくわくする感じに。都倉にはけっこうみんな評価が厳しくて、逆にジェイはあんな守備しないのに好感持たれてる感じ。チャナティップはみんな大好きだけど、これはまあ川崎側から見ても気持ちはよくわかる。奈良については、お、奈良ちゃんだ、とか、今の奈良ちゃんか、みたいな感じで、ちょくちょく名前が聞こえてきた。

そんで、マセードは完全にお笑い枠みたいになっていて、ボール持ったり、アップで抜かれたりするだけでも笑いが起きてた。ほら、やっぱりダメだ、ほんとにもう、みたいな感じで、不思議と怒ってる感じじゃないんだよね。これいちばん面白かった。

川崎が押し込んでるときは、あー、これいずれやられちゃうんだろうな、みたいな空気。で、実際に崩されて失点しても、あそこまで入り込まれちゃったら、こうなっちゃうよね、というような会話が聞こえてきた。逆に、こちらが決定機を外したり、GKがセーブしたりすると、喜びの拍手が起こってた。

試合が終わると、あー、勝てないなあ、みたいな空気で、基本的にはみんなさっさと帰る感じ。怒ってるような空気はなかった。そういえば試合前、雨の映像を見て、たくさん降れば何かが起こる可能性高くなるからいいかもね、みたいなことを言ってた札幌サポがいたけど、札幌って試合も練習も、雨にあんまり慣れてないと思うんだけどな。どうなんだろ、そのへん。

あと忘れてた。試合後の憲剛のインタビューで、こんな雨の中、川崎サポも、それから札幌サポもいっしょうけんめい応援してくれて、ありがとう、というようなことを言ったときには、店内の札幌サポからもざわっと声が出て、みんな嬉しく思ったのがよく伝わってきた。

ゲームについては、まあいいよね。個人的には、エウソンのフィジカルコンディションが上がってきてなくて重そうなのが心配。うまくターンオーバーしてほしいもんだな。あと家長は文字通りフィットしてきているのが明らかだけど、いわゆるトップ下的な位置で憲剛とポジション争いをする形にはならず併用される現状には、プライド的な部分でモヤッとしたものは残っていそうな予感がする。憲剛もそのへんは気を使ってそうに見えるし。意外とここは緊張感のある状態なんじゃないかな。

札幌記念1.JPG

で、次の日は札幌競馬場で札幌記念の取材。

札幌記念4.JPG
札幌記念2.JPG

天気も良くて、凄まじい混雑だった。

札幌記念3.JPG

モーリスの弟、ルーカスは、ウワサ通りの馬っぷりの良さ。ただ、気持ち的にも肉体的にもそれを持て余し気味な感じで、レースを使っていくことでそのへんがどう変わっていくのかが見もの。持て余さなくなると、それはそれで脚元の怪我の心配が出てきたり、距離がもたなくなったりするという方向へも、行かないとは限らないわけだし。

札幌記念5.JPG

あと、モレイラ人気は凄かった。

札幌記念は獲れなかったけど、アタマはサクラアンプルールかヤマカツエース、パドックで最も、それもダントツに良く見えたのが2着のナリタハリケーンだったという負け惜しみだけ書き残しておきます。。。マジ悔しい。藤岡康太騎手は検量室前でエージェントの人に「モレイラやったら勝ってたなあ」と言われ、ほんとですよ、あー! みたいに悔しがってた。ほんとだよ、いっそ勝っちゃってくれてたら、こっちも諦めつくんだけどなあ。。。

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村

にほんブログ村 競馬ブログへ
にほんブログ村


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:競馬

鹿島戦と家長とドラクエ [川崎フロンターレ]

鹿島戦3.JPG

いやあ、いろんな意味で今季ベストゲームだった。こんな最高の夜は本当に久しぶり。これでまた次の日から仕事とドラクエ頑張れるよ。ありがとう家長。ありがとう阿部ちゃん。ありがとう鬼木監督。ふざけんな終盤は必ず負けてる側にジャッジが甘くなる西村主審。

あんな強さを感じさせるゲームができた要因はいくつかあるけど、いちばんは、前線からの守備が復活したことだと思う。鹿島の最近のゲームをちゃんと見てないのでそのへんは推測だけど、三竿のボランチって、レオシルバが比較的自由に、しかも前がかりにポジションをとるせいで低い位置のビルドアップに問題があって、そこを突こうっていう意識もあったのかなあ。

いずれにせよ、急ぎすぎる攻撃よりは、ポゼッションしてじっくり押し込む風間サッカー的な方向への回帰の意識が強くなりすぎて、ずっと鳴りを潜めてたこの前線からのハードな守備が、今回は見事に復活していて、正直ものすごくびっくりするとともに嬉しかった。なんというか、やっぱりこういうサッカーって本能的に心に響くよね。

前が厳しくチェイスするから、鹿島は曽ヶ端も含めて余裕のないパスが多くなって、その受け手のところも出足よくチェックすることで、インターセプトが増える。そうやって奪ったら、速い攻撃と、ためて遅らせて、鹿島の選手を自陣に戻らせてからじっくり攻めるやり方とを、使い分ける。

前半、なかなか点が入らなかったのは後者に比重がかかっていたからで、ただその遅攻のやり方も、ネットあたりが焦れて縦に無理なパスを入れたり、雑な裏への浮き球を蹴ったりすることなく、サイドを使って相手を動かし、穴が見えたらダイレクトプレーでスピードを上げて仕掛ける。逆にへんな奪われ方をしそうな気配が出てきたら、いったん下げて相手を前に引き出しつつ、また作り直すという、お前らなんちゅう完成度の高いチームだよ、と驚きたくなるようなサッカーをしていた。

思い返せばここまで「今季ベストゲーム」候補だった3月の柏レイソル戦は、やっぱり前線からの守備で相手に何もさせない内容だったんだけど、今回のような遅攻も織り交ぜた完成度はなくて、ある意味、力強くはあるけど単純なサッカーをしていたと思う。そこからのチームの苦悩と修正の積み上げがついに結実した。そう言いたくなるような内容だったと思う。

鹿島戦2.JPG

鹿島の強さは、伝統的に一対一の球際の強さや寄せの厳しさにあるわけだけど、特に個人的にはサイドの強さがポイントだと思っている。サイドが絶対に一対一で負けず、簡単には突破させず、クロスを上げさせない守備をしてくるからこそ、別の場所に人数をかけられるわけだ。

ところが大岩サッカーは、これもちょっと見ただけの印象にすぎないのでズレてるかもしれないけど、相手をサイドに追い込んで人数かけて奪おうという戦術をプラスしてるように思えた。でも、そのせいでどうして中盤は人が足りなくなる。そこへきて川崎はネット、大島、憲剛、時には家長まで下がってきて中盤の高い位置で回してくる。鹿島からしたらどうしたってボールが奪えず、いつまでも主導権が握れない。本当に苦手な相手に見えるんだろうなと思う。

だからこその後半3バックで川崎のプレスを外し、中盤を厚くして推進力を出したかったんだろうけど、このへんはやっぱり練れていないというか。もし川崎が最近磐田、東京と3バック相手に攻めあぐねているのを見てやってみたんだとしたら、ちょっとなあという感じ。遠藤の低い位置での守備は、2点目と3点目、両方に絡んでいて、そこは采配的には自滅だと思う。

ちなみに鹿島相手に今年は全部で6点取っているけど、そのほとんどがカウンターか、その直後の守備の混乱を突いたもの。ブロックを敷いた時の最終ラインはやっぱりJリーグでも屈指の堅さで、そう簡単に点を穫れる相手じゃない。1点目、西のオウンゴールだけど、大島の「あそこまで(西が)戻ってくるのが鹿島なので」とコメントしていて、まさにそうだと思う。どう見ても決定機なのに、切り替えしたり蹴り足を変えようとしただけで誰かがブロックに飛んでくるあの守備は、本当にすごいと思う。

鹿島戦1.JPG

とはいえ、やっぱりこのゲームで忘れがたいのは家長でしょ。いやあ、久しぶりに涙がじわっと出た。こんな気分になれるものって、なかなか人生でもない。これでドラクエ頑張れなきゃウソだね。

ずっと思ってたのは、家長は押し込んでポゼッションして崩すプレーの際、感覚が独特すぎるのか、あるいは相手にとって怖いプレーよりも、チームに迷惑をかけないプレーを優先させる回路が、これは性格レベルから染み付いていて、無難なパスが増えたり、味方の動きを利用する、囮にするような意外性のあるプレーがまったく出ない傾向があるということ。

ところが、特にロングカウンターの際には、そういう微妙な選択肢はなくて、とにかくすぐにゴールに向かうか、でなければためて時間を作ってやっぱりゴールに向かうかしかなくて、こういう時にものすごく家長の良さが出る。ずっとそう思っていたんだけど、昨日のゴールは、まさにそういうところから生まれた。

フィジカル的なスピードと強さ、そして独特のテクニックがある、というのが家長の良さで、憲剛だってこれを兼ね備えているわけじゃない。周囲との関係の作り方については、憲剛は「使う」側としてのプレーを磨いてきたけど、家長は、そのへんがずっと曖昧なまま選手としてキャリアを重ねてきてしまったような気がする。

でも昨日は、使うも使われるもない、ボールを持ったら圧倒的なテクニックでゴールに向かう。他の味方も、その能力を信頼して躊躇なくゴールへ走る、というシンプルな役割がハマったんじゃないか。フィットの糸口が見えたんじゃないか、という気がする。要するに、ストライカー寄りのトップ下で、サイドもできるよ的な「王様」ってことだけど。小林悠や阿部ちゃんや憲剛がいる中でも、そのプレーをしてぜんぜん大丈夫で、最終的にはみんなのためになるんだという成功体験を積むことが、今の家長に最も必要なことだと思う。

ちなみに家長が加入してすぐの年初の商店会あいさつ回りで、まだ天皇杯決勝の敗戦の悔しさが残る少年から「鹿島に勝って」とお願いされ、「勝つ、勝つ」と真顔で答えていたことを、ふと思い出した。すごい。有言実行。

昨日は、後半まだ残り時間がたっぷりある段階から川崎の選手は足が止まり気味で、カウンターでシュートまでいけそうなのに止めてみたり、プレーが切れたあと選手が座り込んだりするシーンも多かった。前半のプレスを見て、これ最後が心配だなと思っていたけど、驚いたことに最後まで気持ちが守り一辺倒になることなく、前から戦い続けて、それには本当に感動した。こういうのが「強いチーム」ってことだと思う。オレのドラクエのパーティーも「強いチーム」目指して・・・って、しつこいですね。

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:競馬

FC東京戦とネット [川崎フロンターレ]

FC東京戦3.JPG

仕事しなくちゃいけないので、エンジンかかる前のアイドリングタイムを利用して、昨日思ったことをつらつらと。そうでもしないと、すぐに次のゲームがやってきちゃうからね。

磐田戦と続けて見て思ったのは、やっぱりフロンターレの押し込んでの遅攻に対して割り切った対策を取ってこられると厳しいな、という当たり前のこと。昨日のFC東京なんて、大島のところにぜんぜんプレッシャーが来なくて前向いてプレーし放題だったのに、それでもパスの受け手のところをしっかり締めて、そこからの連動もほぼ全部読まれていて、ビッグチャンスを作らせてもらえなかった。

思うに、中断期間のキャンプ後って、どうしてもそこでやったことを中心にやりがちで、きっとキャンプでは押し込んだ状態からの崩しを熱心にやったんだろうなあ。しかも、右からのやつ。そのせいで、攻撃はワンパターンになっていて、ワンパターンってことは、対策が簡単に、効果的にハマるってことで、そりゃ、ああなっちゃう。

FC東京戦1.JPG
FC東京戦2.JPG

FC東京は磐田と同じ、ハイラインの3バックでコンパクトに守ることをやりたがっていて、でも練度は低いのでオフサイドは取れないし、最終ラインのギャップはけっこう隙があるように見えた。なのにその裏を取れなかったのは、やっぱりフロンターレの攻撃が押し込むことが手段というより半ば目的になっていて、遅いから。

ラインが下がってベタ引きになる状態はFC東京としては避けたいんだろうけど、でも守備という意味では、その状態の時間がある程度あったことで破綻せずに済んだ、という見方もできると思う。攻撃でも、そんな状態からでも、長いボールをウタカが収めてそれを中島翔哉が受けてドリブルで運ぶ、という形はできていたわけだし。まあウタカは前からの守備、中島は中心でゲームをコントロールする意識の部分でそれぞれ弱点ははっきりあって悩ましいところではあるだろうけど、現状ではあの2人が相手としてはやっかいだった。

フロンターレがキャンプの成果にこだわりすぎて忘れていそうなことの一つは、前からの守備の部分だと思う。最終ラインへのプレッシャーからのマイボール→素早い切り替えによるショートカウンターというのが、武器としては完全に捨てられた状態になっている。このあたり、意識のバランスの偏りを早くなくさないと、いつまでも「対策」にハマり続けちゃうんじゃないかと心配。

バランスという意味では、左サイドも、あれいったいどうなってるんだ、というくらい攻撃面での怖さがなく、守備面では相変わらず車屋のクロスやハイボールへの弱さばっかりが目立っていた。車屋とノボリの連携みたいなものも、まったくないに等しいし。本当は、あのノボリのところには家長や長谷川や三好が入るべきなんだろうけど、それができていないのは、現在のフロンターレの弱点だと思う。

あとはネット。最もボールタッチの回数が多いネットのパフォーマンスがゲームに大きく影響するのは、当然のこと。個人的にはジェシのプレーを見ようとたまたま見たアバイー時代のプレーなんかから始まり、加入当初から期待してウォッチし続けていることで、なんだかネットについてはよき理解者のような気分にすらなってるんだけど、昨日思いついたのは、ネットはビハインドの状態だと悪い面が出がちになるのかな、ということだ。雑で、せっかちな面ってことだけど。

昨日も終盤、押しているときに中央でボールを持って、大島が左のワイドでフリーの車屋を使えと指示してるのに、まったく耳を貸すことなく枠外ミドルを打って攻撃を終わらせるシーンがあって、まさにああいうところなんだよな、と思った。

これはもう技術的なことなんかではまったくないわけで、そんなネットのメンタルのコントロールは、ある意味ではフロンターレの最大の課題かも。何しろいちばんボールを触る選手なんだから。

とはいえ、得点差のみならず、相手のプレーや味方の方針も含めた総合的なゲームの状況を理解して最適のプレーを選択するというのは、決してすぐできるような簡単なことじゃない。ネットがキャプテンマークを巻くチームじゃないというなら、小林悠が、大島が、谷口が、その点についてネットとコミュニケーションを取り、コントロールしなくちゃいけない。ここも、フロンターレがあと一段、「試合巧者」になって殻を破るためには絶対に必要なことなんじゃないかな。

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:競馬

セレクトセールと「ザルソバの2017」 [競馬]

ちょっと前の話になっちゃうけど、7月の10日(月)、11日(火)に苫小牧市のノーザンホースパークで行われたセレクトセールに取材で行った。で、その中で出会った、ちょっとしたことなんだけど、なんだか妙に印象深かった話をひとつ。

セール前日の金曜日、翌日に上場される馬を馬主さんたちが牧場へ下見に行くのに同行したんだけど、そこでなんだか気になってしょうがない馬がいた。社台ファームの当歳馬(今春、生まれたばかりのまだ数ヶ月の仔馬のことね)で、「ザルソバの2017」という馬だ。ちなみに「ザルソバ」は母馬の名前で、「2017」は生まれ年。基本的にサラブレッドは1年に1頭しか仔を産まないので、こうすることで馬名が付けられていない馬を呼び分けているわけだ。

気になったのは、その馬の父が、今年初めての産駒が生まれたスピルバーグだったからだった。

馬を見る目なんてぜんぜんないし、見分けられたとしてもせいぜい競馬場で走っている馬たちくらい。仔馬のうちに「うむ、こいつはきっとダービーを勝てる!」なんて言えたらいいけど、そんなことできるわけない。それでもやっぱり、競馬場で見ていた馬が父や母になって、どんな仔を出すのかはすごく興味があるのだ。ちなみにスピルバーグは初年度に101頭に種付けしているから、産駒はそれなりにいる。でも今回のセレクトセールに上場されているのは、この1頭だけだった。僕は、「どれどれ」という気持ちで、この「ザルソバの2017」を見てみたのだった。

ちなみに(「ちなみに」ばっかりだな)母のザルソバは、アメリカで生まれ、フランスで走った後、母になるべく輸入された馬。なんだけど、馬主は現役時代から社台ファームの吉田照哉さんで、だからこういう名前を付けられたのも、まあ納得できる。父がザルカヴァなんかを出しているザミンダーという種牡馬で、そこからの連想なんだろうけど、それにしても気になる名前ではある。機会があったらこのへんの命名については伺ってみたいところだね。

目の前で見たスピルバーグの初年度産駒は、僕的に、すごくスピルバーグの仔っぽくて、なんだか嬉しくなってしまうくらいだった。

2014年天皇賞・秋を制したスピルバーグは、前脚にすごく特徴のある馬だった。脚先の「繋」の部分がすごく長くて、そこが「びよん びよん」という感じでクッション性の高さを感じさせる、独特な動きを見せていた。パドックで歩くのを見ていても、あ、これスピルバーグだ、とすぐにわかった。

下は、種牡馬入り後の、社台スタリオンステーションでの映像だけど、たぶんこれだけでも、その独特な前脚の作りと脚の運びは伝わるんじゃないかな、と思う。トウカイテイオーの後脚とか、脚が曲がっているせいでガニ股になっちゃうハーツクライとか、特徴的な歩き方をする馬はたまにいるけど、間違いなくそんな1頭だ。



そして「ザルソバの2017」が、このスピルバーグそっくりの前脚と歩き方をしていたのだ。もちろん、だからといってこの馬が天皇賞を勝てる器だとかそういう話ではまったくないんだけど、それでもやっぱり、嬉しくなるなというのは無理な話だった。だって、そうじゃないですか?

「ザルソバの2017」が上場されたのは、この2日後、火曜日だった。当歳馬セッションが行われるこの日は、セール開始2時間前から、林の中に200頭以上の全馬をずらっと並べる比較展示が行われる。こんな感じだ。

2日目_当歳下見.JPG

セールでは1頭ずつ見ることしかできないので、購買する馬主さんにとっては、最終判断を下すための貴重な時間だ。僕も北海道の朝の気持ちいい空気の中、キタサンブラックの弟とか、2日前に見ることができなかった馬を見たり、知り合いの牧場関係者に挨拶をしに行ったり、うろうろしながら楽しんでいた。

それでもやっぱり気になっていたのは、「ザルソバの2017」だった。別にもう一度見たからといってどうにかなるわけではないけど、なんとなく気になる。行ってみると、相変わらずスピルバーグそっくりの前脚の出し方で歩いている。いいなあ、嬉しいなあ、と思いながら見ていると、そこに誰かがやってきた。購買のための下見の馬主さんではなかった。

それは、北村宏司騎手だったのだ。スピルバーグにはデビューした頃の調教からずっと携わり、2014年秋、ついに天皇賞馬となった際にも手綱を取っていた同騎手が会見で見せた、自分の8年ぶりのG1勝ちなんてことより、とにかくこの才能がありながら体質の弱さから出世の遅れた相棒の勝利を心から喜んでいる感じは、今もすごくよく覚えている。

馬が売られ、購入される場であるセレクトセールは、馬主や生産者、調教師が一同に集結することで、年に一度の盛大な社交場のような機能も担っている。騎手も、基本的には来なくてはいけない用事はないのだが、たくさんやって来る。今年もたくさんいた。武豊もいたし蛯名正義もいた。福永祐一も川田将雅もいたし、横山典弘も見かけた。列挙なんてしきれないくらいいた。

でも、基本的にはみんな関係者との交流が目的で、朝の展示に来る騎手はあんまりいない。僕がびっくりして挨拶すると、北村騎手は僕と、馬を引いている担当者に、スピルバーグの仔が出てるって聞いたから、会いに来たんですよ、と言って笑った。

2日目_当歳下見ザルソバと北村.JPG

この仔、前脚なんてスピルバーグにすごく似てると思うんだけど。そんなようなことを言うと、北村騎手は、ああ、そういうのより、とにかく顔を見たくて来たんですよ、と言った。そして、おお、可愛いな、よしよし、などと言いながら何度も仔馬の首を抱いた。

これは密かな持論なんだけど、人間とサラブレッドの、その人生、馬生のサイクルが異なっていることは、その異なり方も含め、間違いなく競馬というスポーツの奇妙な魅力の、大きな部分を占めていると思う。

馬は生まれて2年で「選手」となり、そこから3、4年、どんなに長くても6、7年で競技を終える。そこから種牡馬となり、繁殖牝馬となり、種付けして1年でまた仔が生まれる。人間に比べれば短いサイクルだけど、でもそのサイクルが1つ、2つと終わるのを眺めていると、僕たち人間の方も、いつの間にかそれなりに人生における時間が過ぎていることに気づく。成長したり、苦しくなっていたり、あるいはタイミングによっては激変していたり。

競馬だけじゃない。プロスポーツの世界にはそれぞれ「競技年齢」があって、例えばサッカー選手は、三浦知良みたいな特殊な例は別として、普通は10年から20年くらいで次の世代に入れ替わっていく。相撲もそんなもんだろうか。野球は、もう少し長い印象かな。ともかく、観戦する者の人生よりも「選手」の人生のサイクルは微妙に短く、それが長期的なスポーツ観戦の楽しみを生み出している面はある。そんな中でも、競馬のサイクルは特別に、そして例外的に短い。

人間と人間の関係では、同じように時間が過ぎていく。でも、馬と人間は違う。1頭の馬は、1人の人間の、ある限定された一時期をともに歩み、去っていく。そしてまた僕たちは、次の世代の馬たちと、ある限定された一時期をともに歩む。その繰り返しが、つまり人間と競馬の関係の本質なんだと思う。たぶん、僕が血統の話が好きなのも、そういうところに根があるんじゃないだろうか。

「ザルソバの2017」は、「トーセン」の冠でも知られる島川隆哉さんの(株)ジャパンヘルスサミットに、4900万円(税別)という高値で購買された。けっこう激しい競り合いが続いた末の落札で、自分の馬でもないのに、おお、人気者じゃん、と意味なく嬉しくなったしりて。順調に行けば、デビューは2019年。楽しみに待ちたい。

にほんブログ村 競馬ブログへ
にほんブログ村

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:競馬